磁気メディア

磁気メディア

記録密度向上の要求に応えるために、ハードディスクや磁気テープの構造はより薄い層状構造へと移行しています。表面分析法はナノスケールの保護コーティングや磁気記録層なとの現代の磁気メディアの評価に理想的な手法です。表面分析は磁気メディアの評価に加えて、読み出し/書き込みヘッドを始めとする構成部品の汚染検出にも重要な役割を果たしています。

潤滑剤膜厚測定(XPS)

XPSによる表面分析はハードディスクメディアの潤滑剤の厚さと化学組成の分析においては、実験室的測定手法として確立されています。容易な非破壊測定にもかからわず、高い精度と感度をもって潤滑剤厚さの小さな変化を検出できます。

Magnetic Media Surface Analysis

図1: XPS による潤滑剤厚さのマッピングにより、95mm磁気ディスク上の2nm厚の潤滑層が欠損していることがわかります。

薄膜分析(XPS, AES, TOF-SIMS, D-SIMS)

スパッターデプスプロファイリングによる薄膜分析により、高密度記録媒体の実現につ必要な複雑な薄膜構造の組成や分布を直接見ることができます。また、正常な構造の分析に加えて、異物や積層構造の相互拡散を検出することができます。

図2: コンピューターのハードディスクをXPSスパッターデプスプロファイリングで分析すると、極めて薄い表面保護層や磁気記憶層の組成等がわかります。

潤滑剤、添加物と不純物の(分子, 化学種)同定 (TOF-SIMS)

TOF-SIMSによる表面分析をハードディスク表面に適用することで、潤滑剤の組成や添加物と存在するであろう不純物の同定に用いることができます。質量スペクトルの開裂パターン(指紋)が有機化合物を直接的に同定します。

図3: TOF-SIMSによる表面の質量分析により得られる開裂パターンを用いて特定の潤滑剤や添加剤、不純物を同定できます。

微小汚染と微細構造の分析(TOF-SIMS, AES)

TOF-SIMS と AES 表面分析装置は、磁気メディアや読み書きヘッドの微小領域の汚染や特徴的な形態を検出して分析することがサブミクロンの空間分解能で行うことができます。

Magnetic Media Surface Analysis

図4: TOF-SIMS 像から、コバルトが腐食生成物として磁気媒体のテクスチャーに添って偏析していることがわかります。

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