イベントレポート:第35回 技術講演会 イベントレポート(更新版)
2018.08.30 Update
イベントレポート:第35回 技術講演会 イベントレポート(更新版)
2018年6月8日(金)建築会館(東京/田町)にて、技術講演会を開催いたしました。ほぼ満席に近い数のお客様にご来場いただき、盛会のうちに終了いたしました。
ご講演いただいた 株式会社日東分析センター 前野直人様、TDK株式会社 柳内克昭様、株式会社荏原製作所 高東智佳子様、国立研究開発法人物質材料研究機構 吉武道子様(以上、ご講演順)に、改めて御礼申し上げます。
ご講演
「TOF-SIMSを用いた高分子材料の
表面現象のメカニズム解明」
株式会社日東分析センター 前野 直人 様
日東分析センター前野様からは、ビスマスイオンビーム、GCIBなどの新技術により飛躍的に性能向上したTOF-SIMSの高分子材料測定事例についてご講演いただきました。
粘着テープに含まれる様々な添加剤について高感度イメージングを用いた帯電特性の評価事例、前処理不要の深さ方向分析による粘着特性評価などをご紹介くださいました。また、TOF-SIMSだけでなく複合的な解析の重要性についてもお話を伺うことができました。
いずれも、開発・製造過程で生じる多くの課題に対して、幅広い知見と豊富な経験をお持ちの日東分析センター様ならではでの内容であり、非常に興味深く聴講させていただきました。
「表面・局所複合解析技術のこれまでと将来」
TDK株式会社 柳内 克昭 様
TDK株式会社の柳内様からは「表面・局所複合解析技術のこれまでと将来」と題し、異なる分析手法を組み合わせた表面分析装置の複合化事例の紹介と、それぞれの測定結果を複合的に解析するための取り組みについてお話くださいました。
特に興味深かったのが、柳内様が尽力されているCPS(Cyber Physical System)型複合計測分析という ”モノがサイバー空間を通してシステム化する” 仕組みについてです。個別の装置群をサイバー空間内で統合し、複合解析を可能にする構想のことで、今後はビッグデータやAIとも連携し、更に付加価値の高いデータ創出を目指すことも検討されているそうです。
今回ご紹介いだいた内容は、分析技術の重要な部分を接続させるための新たな取り組みとして、今後の検証と結果に対する期待が高まるものでした。
「水と空気の流れにおける表面分析」
株式会社荏原製作所 高東 智佳子 様
荏原製作所の高東様からは「水と空気の流れにおける表面分析」と題して、ご講演いただきました。
インフラに欠かせない風水力・機械カンパニー(ポンプ事業、コンプレッサー・タービン事業、冷熱事業)、精密・電子事業カンパニー(精密電子事業)、環境事業カンパニー(エンジニアリング事業)の研究開発体制と解析/分析部門の役割として研究開発環境の全社最適化、クレーム解決による事業部支援、研究ツールとなる技術開発をご紹介いただきました。
表面分析事例では、複合的な分析法の活用が有効であることをわかりやすくご説明くださり、AES、XPS、SIMSと他の分析装置を組み合わせた活用も重要であると再認識できました。
「材料研究における情報活用」
国立研究開発法人物質・材料研究機構 吉武 道子 様
物質・材料研究機構の吉武様から「材料研究における情報活用」と題して、機械学習的なアプローチを材料研究に取り入れる上での現状の課題と、それを乗り越えるために実践されている取り組みについてお話いただきました。
材料がもつ膨大な情報・物理量を俯瞰的に眺めることで、一般的には関連があると思えない物性間の関係性を見出し、材料開発に繋げていくという全く新しい発想の内容をご紹介くださいました。
普段、表面分析に従事している身にとっては非常に新鮮な内容であり、かつ、既存の視点から一歩離れて考えることの大切さを改めて感じることができた貴重なご講演でした。
アルバック・ファイより
当社からは「アルバック・ファイの開発」と題し、開発中のオプションについて紹介しました。
続いて、移転後の新しい本社・工場の様子をスライドショーで、皆様に紹介しました。
なお、「アルバック・ファイの開発」の発表資料は、クラブ・ファイの装置ユーザー会員様用コンテンツ「過去の発表資料」内でダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。
(注:「過去の発表資料」は、装置ユーザー会員様限定で公開しています。クラブ・ファイ(一般)会員様はご覧いただくことが出来ませんので、ご了承ください。)