イベントレポート : 2019 技術講演会 (更新版)
2019.07.22 Update
イベントレポート : 2019 技術講演会 (更新版)
ご講演
「有機ELデバイスの長寿命化と劣化機構の解明」
公益財団法人 福岡県産業・科学技術振興財団
有機光エレクトロニクス実用化開発センター(i3-opera)
藤本 弘 様
有機光エレクトロニクス実用化開発センター (i3-opera) 藤本 様からは 「有機ELデバイスの長寿命化と劣化機構の解明」と題して、有機ELの発光メカニズムに関する基礎的な内容から、長寿命化に向けた取り組み、さらに実際のデバイスの劣化メカニズムに関する研究事例についてお話しいただきました。
有機ELデバイスの成膜チャンバー内において、残留する微量不純物が寿命に大きく関わることを突き止め、物質を特定し、これらを取り除くことで大幅な寿命の改善を達成されたこと、さらにデバイス製作時間と寿命にも相関があることを見出し、プロセスの改善で安定した品質を得ることが出来たことなど、いずれも客観的事実をもとに問題解決に繋げるという大変興味深い内容でした。
劣化機構の解明における分析技術の役割、重要さについても触れて頂き、装置メーカーの一員として今後もさらに役立つ技術を提供し続けたいという思いを再認識いたしました。
「機能性材料の開発における評価解析技術
活用事例のご紹介」
三井金属鉱業 株式会社 機能材料事業本部
機能材料研究所 評価解析技術センター
和田 充弘 様
三井金属鉱業株式会社 和田 様は「機能性材料の開発における評価解析技術活用事例のご紹介」と題し、実務である不良解析案件が新製品の開発につながったプロセスとその成果をお話くださいました。
金ワイヤーボンディングパット部の剥離原因を明らかにしていくうちに、電極と基板の密着機構を一から見直すという発想に至り、結果として導き出された解決の糸口が歩留りの向上につながったとのことです。
特に興味深かったのが、AES・XPS・TOF-SIMSとその他の分析装置を組み合わせた結果から現状を把握し仮説を立てたことが、製品開発の回答(ソリューション)を導きだすきっかけになった点です。目的を明確にして現状を把握し、仮説を立ててメカニズムを解明するというプロセスが技術革新につながり、大きな成果を得たという貴重なお話を伺うことができ、分析・解析技術に携わる者として身の引き締まる思いでした。
「企業における解析技術の活用について」
住友電気工業株式会社 元 解析技術研究センター長
(現 公益財団法人 高輝度光科学研究センター)
山口 章 様
住友電気工業株式会社(現 公益財団法人 高輝度光科学研究センター)山口 様からは、電線ケーブルから始まった同社の歩み、そこから培った技術で発展した5つの事業分野(自動車・情報通信・エレクトロニクス・環境エネルギー・産業素材)とそれらを支える研究開発・分析解析部隊との関係性について、元解析技術センター長というお立場からご講演いただきました。
ご講演内容は、大きく分けて 組織論・人材育成論・成果の見える化 という3点で分かりやすくご説明くださいました。
なかでも、
・「立場が違うと意見が違うので相手の話をよく聞く」
・「問題を自分が解決するという強い意識を持つ」
・「上層部に成果をきちんと伝えるために、A4/1枚に分かり易くまとめて定期的に報告する」
という、なかなか実現しづらいことを長年継続し、やり遂げた結果が大きな成果に結びついたというお話しは、マネジメントに関わる多くの方々から今後のヒントに成り得ると大変好評でした。
最後に、PHI 600(AES)や PHI 5400(XPS)といった数十年前の装置から今も変わらずお付き合いを賜り、かつ、本会にて貴重な内容をご講演いただきましたことに感謝申し上げます。
アルバック・ファイより
当社分析室より「表面分析の可能性を拡げる最新技術 - HAXPES, UPS/LEIPS, MS/MS -」と題して、それぞれの製品・オプションについて発表いたしました。
続いて、当社技術開発部より「快適なデータ処理環境と自動化を実現した新しい解析ソフトウェアのご紹介」と題して、当社従来品からコンセプトを一新した XPS/AESデータ解析用の新しいソフトウェア(現在開発中)の新機能や特長を紹介しました。
技術講演会で当社が発表した内容(配布資料)は、クラブ・ファイの装置ユーザー会員様用コンテンツ「過去の発表資料」内でダウンロードいただけますので、ぜひご活用ください。
(注:「過去の発表資料」は、装置ユーザー会員様限定で公開しています。クラブ・ファイ(一般)会員様はご利用いただくことが出来ませんが、何卒ご了承ください。)