反射電子エネルギー損失分光法
PHI XPS用オプション:REELS(Reflection Electron Energy Loss Spectroscopy)
反射電子エネルギー損失分光法
KEY FEATURES
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表面の電子状態や結合状態を分析
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半導体のバンドギャップ測定
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水素の相対含有量を比較
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炭素のsp2/sp3結合の判別
分析例
REELSによるバンドギャップ測定
Siウェハ上の SiO2 熱酸化膜(25 nm)のREELSスペクトルです。入射電子より 8.8 eV低いエネルギーからピークが立ち上がっており、SiO2 膜のバンドギャップ (*1) を知ることができます。
図1. SiO2 の REELSスペクトル(入射電子:1.5 keV)
REELSによる有機フィルム中の水素含有量の評価
水素原子の反跳効果により、水素由来のエネルギー損失ピークが現れます。このピークの強度から水素の相対含有量が比較できます。
図2. 各種高分子フィルムのREELSスペクトル(入射電子:1.5 keV, 100 pA)
REELSによるダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の評価
ダイヤモンド(sp3)および、グラファイト(sp2)をリファレンスとして、各種DLC膜の結合状態を判別できます(*2)。 ガスクラスターイオン銃(GCIB)により損傷なく表面汚染を取り除くことで、より精密に炭素材料の分析ができます。
図3. グラファイト(sp2)、ダイヤモンド(sp3)、Filtered Arc Deposition(FAD)法 DLC膜、および、PETボトル内面のDLC膜(ハイバリアPETボトル)のREELSスペクトル(入射電子:1 keV)
REELSの原理
試料に電子を照射して発生する反射電子のエネルギー損失スペクトルは、表面で生じた励起のエネルギーとその頻度を反映します。反射電子のエネルギー損失スペクトルから、原子の結合状態やバンドギャップなどの表面の電子状態の分析ができます。
REELSの構成
REELS測定は、VersaProbe III のオプションとして二種類どちらかの電子銃を選択することで可能になります。いずれの電子銃もFATモード(エネルギー分解能一定)による 0.5 eV以下の高エネルギー分解能でREELS測定が行えます。
REELS用 電子銃
REELS測定用に新たに開発したコストパフォーマンスに優れた電子銃です。
数百から最高 2 kVの安定した電子を照射できます。
オージェ分析用 走査型電子銃
オージェオプションを選択した場合は、オージェ分析用 走査型電子銃でREELS測定が可能です。
SEMイメージ上から測定箇所を指定して、REELS分析ができます。
(詳細は国内営業部までお問い合わせください)