材料開発
材料開発
材料は各種の物理的特性を強化するために、組み合わせたり添加剤を加えたりするなどして最終製品に使用されます。多くの合金、ガラス、セラミックス、ポリマーは、微細な相や粒界が存在しており、これらの微細組織内部と界面の組成と分布が、最終製品の性能に大きな影響を与えます。
粒界析出物(AES)
その破断分析により、粒界表面を分析することによって粒界や粒内に析出する不純物元素の析出が可能になります。以下に示す図は、蒸気タービン翼の切片を超高真空中で破断して、粒界表面をオージェ分析装置で評価した事例です。
図1: 試料破断面の低倍率二次電子像
図2: 試料破断面の高倍率二次電子像
図3: 元素マッブ像
粒界表面にアンチモンとクロムカーバイドが偏析していることがわかりました。
(青:鉄マトリックス, 緑:クロムカーバイド析出物, 赤:アンチモン)
セラミック中の微細異相の検出
多くのセラミックスは組成の異なる粒組織の集合から成り立っています。そして、それらの粒の組成と大きさはセラミックスの物理的性質に大きな影響を与えます。TOF-SIMSは下に示すように個々の結晶粒の形状と組成をマッピングして示すことができます。
図4: TOF-SIMSによるセラミック表面の元素イメージ
アルミナ・ジルコニア・シリカ(AZS)セラミックのTOF-SIMS像。
シリカマトリックス中にアルミナとジルコニアリッチ相が見出され、その分布が明瞭に観察できました。また、ナトリウムとイオウがシリカマトリックス濃化していることが示されました。