PHI 4800
KEY TECHNOLOGY
最高感度の次世代オージェ
従来比 5倍の高感度オージェ
PHI 4800は、最新の高感度静電半球型アナライザ(SCA)を装備しており、従来比 5倍の高感度で測定することができます。また、この最新型SCAはエネルギー分解能(ΔE/E)を 0.05 %~0.4 %の範囲で変更でき、化学状態の同定に有利な高エネルギー分解能モードでも高感度を維持します。 電子銃には、オージェ分析で重要となる安定性に優れたショットキー型フィールドエミッションを採用しています。
PHI 4800は、XPSでは困難なサブミクロンの化学状態の同定や研究に、最適な環境を提供します。
図1. 10 kV, 10 nAにおける Cu LMM感度(バックグラウンドからのピーク高さ)と、
エネルギー分解能との関係
*710 : 当社のCMA (同軸円筒鏡型アナライザ) ベースAES装置の一例
*5800: 当社のSCAベースAES装置の一例
微小部の化学状態分析
化学状態マップ
オージェ分析では、特別な前処理を必要とせずに、他の分析手法では不可能なサブミクロンの表面化学状態を知ることができます。
図2は表面をメッシュの形状に修飾酸化した銅板試料の測定例です。Cu LMM オージェ電子をピクセル毎にスペクトルを保持するスペクトルマップとして測定しました。高エネルギー分解能で測定すると、図2-bに示すように、銅の金属状態と酸化状態のスペクトル形状に違いがあらわれます。図2-aは図2-cに示したスペクトル形状の違いを最小二乗フィッティングによって可視化した化学状態マップです。化学状態の異なる領域が、イメージとして明瞭にとらえられています。
図2-a 銅板試料の化学状態マップ
図2-b 標準スペクトル 図2-c 銅の金属状態と酸化状態のスペクトル
微小領域の化学状態分析も可能です。
図3は銅板上の数百nmの酸化銅微粒子の化学状態マップ測定例です。サブミクロンの領域で、酸化銅微粒子の酸化状態と銅板(金属)の金属状態が可視化されています。
図3. 銅版上の酸化銅微粒子のSEM像と化学状態マップ
化学状態デプスプロファイル
PHI 4800では価数が異なる金属を分離してプロファイルを取得することができます。
図4-bは車載用のスズ銅合金コネクタ表面の深さ方向分析例です。
外部標準スペクトル(図4-a)を用いた最小二乗フィッティングにより、Sn(4価)とSn(2価)を分離してデプスプロファイルを観察しました。100 ℃で加熱した試料(右)では、酸化膜の厚さが厚くなるとともに、酸化膜中のSnOに対するSnO2の比率が増えていることがわかります。 なお、Cuの酸化は表面のみで生じていました。
図4-a 外部標準スペクトル 図4-b 車載用コネクタの深さ方向分析例
独自のソフトウェアによる容易な操作
SmartSoft (解析ソフトウェア)
SmartSoftはWindows®上で動作する測定制御用ソフトです。
イントロ写真から目的の観察場所へ容易にナビゲートでき、SEM観察による位置決めから測定、データ表示まで、一連の分析が一画面で操作できます。 試料の出し入れに伴うバルブ操作やスパッタリングに用いるアルゴンガス導入はコンピュータで制御されており、煩雑な手順なく誰でも安全に使用することができます。 また、マッピング、フレキシブルデプスプロファイル、ドリフト補正など、充実した測定機能が搭載されており、試料に合わせた多様な測定に対応します。
SEM像・オージェ分析を一画面で容易に操作できるSmartSoftは、分析作業の効率化と稼働率の向上に貢献します。
図5. SmartSoftの操作画面例
PHI MultiPak (データ解析ソフトウェア)
PHI MultiPakはWindows®上で動作するデータ解析ソフトウェアです。
スペクトルのピーク同定、定量、マップの重ね合わせ、スキャッタダイアグラム作成、デプスプロファイルデータのLinear Least Square fitting (LLS)や、 Target Factor Analysis(TFA)による成分分離など、多彩なデータ解析を行うことができます。
また、コピー&ペーストで他のWindows®ソフトウェアへ容易に解析結果を転送でき、迅速なレポート作成をサポートします。
図6. PHI MultiPakの解析画面例