PHI Quantes
走査型デュアルX線光電子分光分析装置 (XPS)
PHI Quantes
PHI Quantes は、エネルギーの異なる硬X線(Cr Kα線)と従来の軟X線(Al Kα線)の2線源を搭載し、微小領域から大面積まで高感度な分析を提供します。2種類のX線源は短時間・自動で切り替えることができ、試料の同一箇所を分析することが可能です。
これまで培ってきた PHI Quantera II のコア技術を搭載し、自動分析・自動搬送・ターンキー帯電中和補正・高度なデータ処理を利用することができます。PHI Quantes は、これまでの常識を超える新しい応用分野を切り開くXPSです。
KEY TECHNOLOGY
硬X線を搭載した走査型デュアルX線光電子分光分析装置
走査型デュアルモノクロX線源
Cr Kα線(5.4 keV)と従来の Al Kα線(1.5 keV)の2線源を搭載し、微小領域から広範囲まで高感度な情報を得ることができます。両線源ともに試料上を走査して得られる2次電子像(SXI)により、正確な分析箇所の特定が可能です。
2線源による容易な同領域測定
Cr線とAl線は、ソフトウェアでX線アノードを操作して短時間で切り替えることができます。また、切り替え時に特別な調整も不要なため、Cr線とAl線で同じ領域を測定することも容易です。
走査型デュアルモノクロX線源の模式図
2線源によるSXI
ターンキー帯電中和
Cr線を用いた場合でも、従来のAl線と同様に低エネルギーの電子とイオンの同時照射による試料帯電の自動中和補正(ターンキー帯電中和)が可能です。
ターンキー帯電中和の模式図
Cr線で測定したPTFEの F 1sと C 1s スペクトル
自動分析
あらかじめ設定した分析手順に従って長時間の昼夜測定を自動で行うことができます。分析室内に2つのパーキングを有し、最大で3つのホルダー上の試料に対して完全自動測定が可能です。また、ターンキー帯電中和により絶縁物分析においても完全自動分析を実現しています。
高耐圧アナライザ
長時間でも安定した測定が可能な 6 kV以上の高耐圧アナライザを新たに搭載しました。インプットレンズと併せて、従来よりも高い透過率を実現しています。また、32チャンネルの多チャンネル検出器によりインターレースモードで最大128チャンネルのデータを瞬時に得ることができ、マップ分析に有効です。
BiのCr線およびAl線のサーベイスペクトル
2つの異なるエネルギー線源で広がる応用範囲
情報深さの違い
膜厚を変化させたPMMA(Polymethyl methacrylate)を通したSi基板の情報をAl線とCr線で測定した例を示します。
Al線ではPMMAの厚さが 20 nmの場合のみSi基板の情報を検出しているのに対し、Cr線では 35 nmおよび 45 nmの厚さのPMMAでも基板情報を検出できています。Cr線はAl線と比較してより深い領域の情報を得られることがわかります。
(試料提供:富士フイルム株式会社)
PMMAを通したSi基板からの Si 2pスペクトル
PHI Quantes 独自の機能
Cr線による定量・定性分析
Cr線のスペクトルデータは、解析ソフトウェア PHI MultiPak 上で従来のAl線データと同様のデータ処理を行うことができます。
PHI Quantes 対応の MultiPak には、新たにCr線用のピーク位置、および相対感度係数のデータベースを追加しており、Cr線スペクトルのピークの帰属や定量計算にも対応しています。
Al線とCr線のデータはひとつの MultiPak 上で同時に扱うことができるため、線種の違いを利用したスペクトル情報の比較などもスムーズに操作できます。
PHI MultiPak による解析画面例
Arモノマー/GCIBデュアルイオン銃【NEW】
デュアルX線 × デュアルイオン銃 全自動測定
自動モデルであるQシリーズにこのオプションを搭載することで、デュアルX線 × デュアルイオン銃の全自動測定が可能となりました。
分析室真空内に内蔵型のモノマー/クラスター切り替え可能な デュアルイオン銃です。標準の内蔵型モノマーイオン銃の位置に置き替えで搭載し、モノマーを使った無機系の深さ方向分析から クラスターを使った低損傷の有機系深さ方向分析などが1本のイオン銃で対応可能となります。 当然、弊社独自の定評ある中和モードの低加速イオンもこのイオン銃のみで対応できます。
また、新型デュアルイオン銃ではクラスターサイズの変更も可能となっております。さらに、クラスターサイズ計測器も新たに開発し追加することができます。 これにより実際に装置内部で使用しているクラスターサイズを確認することが可能となります。