ガスクラスターイオンビームについて
2014.08.15 UpdateTOPICS
ガスクラスターイオンビームについて
What is the Gas Cluster Ion Beam
ガスクラスターイオンビーム(Gas Cluster Ion Beam, GCIB) 技術1)は、京都大学で開発された日本発の先端技術です。GCIBはアルゴンなどのガス原子(分子) 数千個程度から形成されるイオンビームで、既存のイオンビーム技術では達成できなかった1原子当りのエネルギーが極めて低いイオンビームエッチングとエッチング後の表面の平坦化が実現します2)。
図1 従来のイオンビームとクラスターイオンビームの特徴の比較3)
図2 ガスクラスターイオンビーム装置の概要3)
XPS, TOF-SIMS などの表面分析では従来からクラスターイオンが用いられてきました7)。クラスターイオンの中でも特に、C60イオンは、多くのポリマーや有機物に対して表面クリーニングと低損傷スパッタエッチングが可能であることから、市販分析装置に数多く搭載され、現在では世界中で数十台が実用的に表面分析に用いられています。Arガスクラスターイオンビームは、エッチング後の表面に照射イオン由来の化学変化がほとんど認められないことから、C60では達成できない、1原子あたり1~20eV程度の超低エネルギーイオンエッチングによる、低損傷・高深さ分解能エッチングが実現します。
図3に発売した装置の外観を示します。表面分析用小型GCIB装置は、株式会社アルバックとアルバック・ファイ株式会社が共同で開発いたしました3-6)。
図3 表面分析用小型ガスクラスターイオン銃